トルコ:鉄道発祥の地から

 

イズミル・バスマネ駅

    
                   寝台車の車内
食堂車での夕食
車窓に広がる広大な麦畑


アンカラ駅

 イズミルはイスタンブール、アンカラに次いでトルコ第3の商業都市である。エーゲ海に面しており古くから貿易の地として栄えたという。1856年には英国資本によってトルコ初の鉄道が敷かれた。そんな街から列車に乗りたいと思い、イズミルとアンカラを約12時間半かけて結ぶ夜行列車「İzmir Mavi Treni」に乗車した。トルコ語でMaviは「青」を意味しており、かつて日本国内の各地を結んでいた寝台特急「ブルートレイン」を連想させる。ブルートレインの名称は南アフリカで運行される豪華列車「The Blue Train」を由来としており、İzmir Mavi Treniの由来については現時点において調べられていない。しかし、日本にゆかりがある者に対して親近感を抱かせる名称であることは確かだろう。

 客車はアンカラ方を先頭に座席車6両、食堂車、寝台車2両の9両編成。アンカラ〜イズミル間は全線が電化されており、電気機関車によって牽引される。食堂車ではトルコらしくチャイや焼き立てのキョフテが提供されていた。夜行列車のため車窓を楽しむことは殆どできないが、朝方エスキシェヒル〜アンカラ間を走行中に目が覚めると車窓には広大な麦畑が広がっていた。始発駅を定刻に出発したがアンカラには2時間ほど遅れての到着。道中、遅延に関する案内は当然ながら存在しなかった。

 近年トルコでは高速鉄道の延伸や都市圏における近郊列車網整備等の旅客輸送にも力を入れている。しかし、長距離バスと道路網の発達も相まって旅客列車の本数が思いの外少なく、貨物輸送が主体であることが伺える。ボスポラス海峡を横断するマルマライの開業によって、トルコを経由する中国〜欧州間の国際貨物列車も運行されるようになった。推測するに遅延の原因も長距離を走行する貨物列車に起因するものなのだろう。かつて外国資本によって敷かれたトルコ鉄道だったが、今や自国の繁栄をもたらす鉄道へと変貌を遂げている。

匿名希望

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