トルコ:クルド人のおじさん、セルヴァンさん

 

結婚式でハライを踊っている様子。(撮影日:2023/9/2
セルヴァンさんのおじさんの家族。右から、Muratおじさん、末っ子のNehir、韓国アイドルが好きなSeval、奥さんのNursen、サッカーが好きなReber、そしてセルヴァンさんと私。(撮影日:2023/8/13
セルヴァンさんの家で食べさせてもらった晩ご飯。ピーマンのピラフ詰め、パスタ、トマトのスープ。(撮影日:2023/8/13
セルヴァンさんと食べた昼ご飯。鶏肉のケバブ、フライドポテト、ピラフにサラダ。(撮影日:2023/7/2


トルコに留学して、様々な人と出会い、交流を深めることができた。しかし、このブログでは書ききれないような濃い体験をすることになったのは、ただ1人、クルド人のセルヴァンさんがいたからである。

トルコ初日の夜、寮のシャワー室にあるシャワーヘッドが取れてしまい、私達はホースのようになってしまったシャワーで体を流していた。約1週間が経ち、そろそろ普通のシャワーに入りたいとしびれを切らした服部くんは、他の部屋で作業をしていた清掃員さん達に新しいシャワーヘッドを交換してもらえないか頼んだ。彼らは英語を理解することができなかったため、翻訳アプリを用いてなんとかその旨を伝えた。1人の清掃員さんが快く了承、すぐに新しいシャワーヘッドと交換してくれたのだが、この清掃員さんこそ、セルヴァンさんである。シャワーヘッドを交換してくれたお礼に、服部くんが日本から持ってきていた抹茶のチョコレート菓子を渡すと、非常に喜んでいたのを今でも覚えている。

次の日、寮の部屋から食堂に向かうために廊下へ出ると、セルヴァンさんに話しかけられた。「昨日はありがとう、助かった」と伝えると、「ハディ!ハディ!(こっち来て!)」といわれ、付いてくるように促された。言われるがままに付いていくと、清掃員の人達が使う小さい控室に案内された。何か伝えてくるので翻訳アプリに話してもらうと「お腹が空いているなら食堂に行かず、ここで私と一緒に昼ご飯を食べよう。」とのことで、せっかくの機会なのでご一緒させてもらうことにした。食堂で出るものと同じ料理が入ったトレイをもらった、職員はお弁当形式で食事を取っているらしい。毎日食べている食堂の料理には、慣れを通り越して早くも飽きが来ていた、しかし、いつもと違う場所で、いつもと違う入れ物で、いつもと違う人と食べることで新鮮な感覚を味わえた。昼ご飯を食べながら、翻訳を駆使して彼とお話をした。食後はチャイを入れてくれた。服部くんと池田くんとも話してみたいというので、部屋に迎え入れて更に色々な会話をした。

セルヴァンさんはクルド人であり、33歳だという(実際の年齢より老けて見えたことは内緒)。日本に関心があり、日本人のことをとても気に入っているそう。クルド人はトルコで迫害を受けているので、敗戦国である日本に親近感があると言っていた。政治や世界情勢に関心が高いようで、時々政治的な質問をされて答えるのに苦労するときもあった。彼は私達のことについて沢山質問をしてくれる。出会ってばかりだったが、私達にすごく興味を抱いてくれており、翻訳アプリを通した会話もめんどくさがることなく話してくれた。

この日境に、セルヴァンさんはよく私達の部屋を訪ねてくるようになった。ドアをノックしたあと、私の名前を大声で呼び、一緒に昼ご飯を食べようと誘いに来てくれる。いつも笑顔で明るく、お茶目な一面もある。しかし、彼はよく、何の予告もなしに私達の部屋に入ってくる。私達が学校の課題で忙しかったり、あまり気分が乗り気でなく1人の時間がほしいときもあるのでそう伝えると、すごく寂しそうにしていた。それほどまでに、私達に興味を持ってくれて、私達に会うことを楽しみにしてくれる。

色々な会話をする中で、家族や友達のこと、クルド人のことについて沢山教えてくれた。逆に私達は、自分達のことや、日本のことについて紹介する、あまり実感は無かったが、今振り返ると立派な国際交流をしていたなと感じる。4人で街中へお出かけをしようと誘ってくれた時もあった。その時には、彼がが船に乗りたいと言ったのでボスポラス海峡のクルーズツアーに乗った。1時間半ほどでボスポラス海峡を往復するコースなのだが、セルヴァンさんは乗って30分も経たないうちに海を眺めながらうたた寝をしてしまったのだった。

家に泊まりに来てくれと招待されたこともある。彼は結婚しており、両親と弟さん、妻の妹、そして娘と息子と暮らしているようだった。家には小さな庭があり、手作り感があるテラスと、犬もいた。。彼のおじさんの家にも泊まらしてもらったことがあり、そちらも大人数の家族で暮らしていた。どちらでも、たくさんの料理を振る舞ってもらい、たくさん歓迎され、たくさんもてなされた。

1番印象的だったのが、結婚式に招待してもらったことだった。トルコやクルド人の間では、結婚式などのお祝いの際に「ハライ(Halay)」という民族舞踊を踊る。手を繋いで輪になり、大きな音楽にあわせて踊りながら回転していく。結婚式は昼間から夜中まで続き、延々とその踊りを繰り返すのが、トルコ・クルドスタイルの結婚式なのだ。日本でも結婚式にはまだ行ったことがなく、あまりできないような経験だったためとてもおもしろかった。

クルド人は「国を持たない最大の民族」と言われているだけあって、血や絆での繋がりを持つ人が沢山いるようだった。そんな家族を愛し、クルド人であることに強い誇りを持つセルヴァンさんは、私達のことを深く尊敬して、仲良くしてくれた。彼とのの出会いはまさに一期一会というのにふさわしく、予想だにしない出来事ばかりだった。異国の地での2ヶ月半、彼は私達の心の拠り所となってくれた。日本に帰った今でも、SNSで反応をくれたり、メッセージを送ってきてくれる。いつか彼と、彼の家族を日本に招待して、恩返しがしたいと思う。ありがとう、セルヴァンさん、またいつか。

トルコ人

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