フランス:航空博物館の紹介

フランスは、航空に関する歴史が非常に長い国である。その始まりは第一次世界大戦以前、さらに言えば1789年のフランス革命以前にまでさかのぼることができる。たとえば、1783年にモンゴルフィエ兄弟が成功させた世界初の有人熱気球飛行は、まさにその象徴的な出来事である。この飛行は、現代航空の始まりを告げるものであり、人類が空を飛ぶという夢に一歩近づいた瞬間でもあった。当時のフランスではこの快挙が大きな注目を集め、科学と技術の発展に対する国民の関心を高めることにもつながった。フランスの航空史は、このようにして革命前夜からすでに始まっており、その後の発展へとつながっていったのである。(参考: https://x-digger.com/世界で初めて空を飛んだ-モンゴルフィエ兄弟/) 。このように、非常に古くから続いている歴史であるがゆえに、私は強い魅力を感じ、深く知りたいという思いを抱くようになった。 そのような経緯から、私はフランス各地にある航空博物館を訪れるようになった。たとえば、アンジェ近郊にある小規模な博物館 Espace Air Passion、パリにある国立の Musée de l'Air et de l'Espace(航空宇宙博物館)、そして航空機産業が盛んなトゥールーズにある Musée Aeroscopia(エアロスコピア博物館) などである。

 本稿では、これらの博物館について紹介する。航空機が好きな者、あるいはフランスで航空博物館を訪れたいと考えている者にとって、何らかの参考となれば幸いである。


写真1.B-377-SG/SGTAero Spacelines Super Guppy at

Musée Aeroscopia

Musée Aeroscopia - トゥールーズ

 この博物館は、世界有数の航空機メーカーであるエアバス社の本拠地とも言える都市、トゥールーズに位置している。航空機製造工場とトゥールーズ空港のすぐ近くにあることから、一層臨場感が増す。

  アクセスも便利で、トゥールーズ市内中心部から直通のバスに乗ることで簡単に到着できる。乗り換えの手間がなく、時間を無駄にすることもない。

 到着するとすぐに、コンコルドやA400Mといった大型航空機が博物館の前に堂々と展示されており、訪問者が写真を撮る人気スポットとなっている。 館内に入ると、フランスにおける航空の歴史が時代ごとに丁寧に紹介されており、A320 A340A380 など、エアバス社の航空機も数多く展示されている。実物大の機体から精巧な模型に至るまで、バリエーション豊かな展示が並んでいる。

 中でもひときわ目を引くのが、巨大輸送機 Super Guppy(スーパグッピー、写真1) である。この機体は、かつてロケットやスペースシャトルなど、宇宙関連の大型技術機材を輸送するために使用されていたもので、その独特なフォルムと歴史的背景から、訪れる者の関心を集めてやまない。

 さらに、各時代の軍用機も充実しており、航空史や軍事史に興味のある人々にとっても見応えのある内容となっている。

 なお、もしこの後に飛行機での移動を予定している場合、博物館から空港までは徒歩で約40分程度でアクセス可能である。道中にはマクドナルド、ファイブガイズ、さらには寿司店などの飲食店もあり、食事をとりながら移動することもできる。 

写真2.Breguet Br.1150 Atlantic and Rocket at Musée de l'Air et de l'Espace

Musée de l'Air et de l'Espace  パリ

 この博物館は、パリにあるフランスで最も歴史ある空港のひとつ、ル・ブルジェ空港(Le Bourget) 内に位置している。パリ中心部からは地下鉄で郊外まで移動し、そこからバスに乗り継いでアクセスすることができる。ただし注意点として、特に平日の朝や昼には、遠足中の学生グループが多数バスに乗り込んでくることがあり、車内が非常に混雑する。そのような状況ではスリが発生しやすいため、貴重品やカバンから目を離さないように注意が必要である。

  博物館の入口付近には多くの飲食店が並んでおり、見学前に腹ごしらえをするのに適している。入館時には手荷物検査が実施されており、非常にセキュリティ意識の高い施設であると言える。 館内には、フランスの航空史を彩る初期の飛行機が展示されており、たとえばブレリオ(Blériot) や ファルマン(Farman) といった、第一次世界大戦以前にフランスで製造された歴史的価値の高い機体が並んでいる。さらに奥へ進むと、戦争関連のゾーンがあり、第二次世界大戦中に使用された航空機が数多く展示されている。たとえばスピットファイア(Spitfire) や輸送機のC-47 などがその一例であり、戦争史に関心がある者にとっては特に魅力的なコーナーである。(写真2)

  また、旅客機の展示も充実しており、初期のボーイング747(機内にも入場可能)やA380、そして超音速旅客機コンコルドなどが展示されている。これらの巨大な機体を間近で見られるのは圧巻である。

 さらに特筆すべきは、航空機だけでなく宇宙関連の展示ゾーンも充実している点である。宇宙服、スペースシャトルの模型、ロケットエンジンなど、宇宙開発に関する多様な資料が網羅されており、航空だけでなく宇宙に興味のある来館者にも十分に楽しめる内容となっている。

  全体を通して、見どころが多く、歩きながら自然と引き込まれていくような博物館であり、飽きることなく楽しめる施設である。



写真3.My friend Mohammad grabs a control stick of CM170 at Espace Air Passion

Espace Air Passion  アンジェ

この博物館は、アンジェ空港内に位置する小規模な航空博物館である。規模こそ小さいが、館内には時代ごとのさまざまな航空機がぎっしりと展示されており、初期の飛行機から現代の機体に至るまで、戦闘機や小型旅客機など多彩なラインナップが揃っている。

 アクセスはアンジェ市内中心部からバスで一本で行くことができるが、注意点としてバスの運行本数が非常に少なく、1日にわずか2便しかない。そのため、事前にスケジュールをよく確認しておかないと、帰りのバスがなくなる可能性もある。万が一逃した場合は、Uberなどを利用する必要があり、追加の出費がかさむことになる。

 この博物館ならではの魅力は、展示機のコックピット内部に実際に入って操作体験ができる点である(写真3)。操縦桿を自由に動かすことができるため、航空機ファンにとってはまさに夢のような体験ができる場所と言えるだろう。

Peak



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