マドリードでのフィールドノート

 スペインでの留学も残り2週間ほどとなり、時の流れの速さを実感した。マドリード滞在中、フラメンコの調査のため2つの場所を訪れたので、今回はその体験を記していく。



【Centro Cultural Flamenco De Madrid】 


Centro Cultural Flamencoでみたショーは、何となく観光客向けのショーだと思った。
ギターも歌い手も踊り手も技術が高く、もちろん楽しんでみることができた。ただ、グラナダのタブラオで見たものに比べると、「見せること」「みんなに受け入れられること」が優先された芸術品としてのフラメンコっぽさがあるように感じた。

ところが、最後のフィン・デ・フィエスタになると空気が一変した。
フィン・デ・フィエスタとは、フラメンコショーの締めの踊りのことで、決まった形式がないため自由で即興性が高い。日本で例えるなら、引幕後のカーテンコールやライブのアンコールなどに似ている。
それまで緊張感を漂わせていた演者たちが、一気に解き放たれたような柔らかい雰囲気となった。お互いに目を合わせ、笑い合い、即興的に身体を動かすその様子は、見せるためのショーではなく、その場を楽しむための踊りだったように見えた。

これまでみたどのフラメンコショーでも、フィン・デ・フィエスタになると踊り手たち自身が「楽しんでいる」というのがよく伝わってきていた。そしてそれは観客にも共鳴し、その場にいる人みんなで楽しむことができるのだ。
スペインでの滞在中、いくつかのフラメンコショーをみて、フラメンコを通じた演者同士の言葉のないコミュニケーション、演者と観客が一体となってその瞬間の空間を楽しむ、そんな人と人とのつながりを強く実感することができた。

 フラメンコショーのフィン・デ・フィエスタの様子




【La Tasquita de Manuel Becerra】


もう一つ訪れた場所は、地元で「バルでフラメンコが聴ける」として知られるLa Tasquita de Manuel Becerra。観光ショーとは異なる、より内輪的で距離の近いフラメンコを体験したくて向かった。写真①

しかし、この日は残念ながら演奏は行われておらず、ごく普通のバルという雰囲気だった。
演奏を聴くことは叶わなかったが、BGMでフラメンコの曲が流れており、生活の中にフラメンコが流れている、その距離の近さを感じることができた。


舞台芸術としてのフラメンコと、日常に溶け込むフラメンコ。
対ではあるが、それぞれにフラメンコの多様性と変化を感じさせてくれるだろう。


                         店内の様子

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